立正大学付属立中学校
社会を疑似体験するR-プログラムが、すべての学びと生きる力をつなぐ
【注目ポイント】
- 確かな基礎学力と応用力を培う数学の「グループ学習」。
- 毎朝のコラムリーディングで、自ら考え、表現する力を磨く。
- 逆算思考のキャリアデザインが「真に生き抜く力」を育む。
基礎学力を培う立正流のグループ学習
得意・不得意の差が現れやすい科目といえば、数学だ。立正大学付属中学校・高等学校はこの問題にどう取り組むか。まず、全ての基礎となる「計算力」を重視し、毎週小テストを実施。計算への苦手意識を払拭する。また中1から習熟度別クラスを編成し、一人ひとりの理解度に即した授業を展開。さらにグループ学習を積極的に取り入れる。どのような生徒にも成果が見込めるからだ。
数学が得意な生徒の特徴は、教科書の例題以外の解法を思いつくこと。グループ学習により複数の視点で解法を発想し、共有することで、より深い学びへとつなげることができる。一方、苦手な生徒にとっては気軽に教え合う効用が大きい。数学科の小林護教諭は「分からなければその場ですぐに相談できる状態で授業を進めている。助け合いを機に成長する生徒は多い」と話す。
確かな基礎学力を糧に数学で身につけたい力は論理的思考力だ。例えば証明問題では、その命題が正しいという根拠を過不足なく網羅する必要がある。この“アイディアを通すための理由付け”という演繹的な作法は、同校独自の取り組み「R-プログラム」にも寄与している。
毎朝20分、自ら考え表現する力を育む
「R-プログラム」とは、Research(調べる)、Read(読み取る)、Report(表現する)の3つのスキルを伸ばす教育プログラムで、柱となる活動は中1〜高1で行う「コラムリーディング&スピーチ」だ。毎朝20分間のショートホームルームの時間を活用し、新聞の社説やコラム等を読み、調べ、自分の考えをまとめ発表する。各学年の目標は、中1「文章の書き方を身に付ける」、中2「自分の意見を持つ」、中3「自由な表現で意見を伝える」、高1「グループで意見をまとめる」。4年間を通じ3つのスキルを体系的に磨いていく。
例えば中2では、地震被災地の避難所のリーダーが書いたコラムを題材に「もし自分がリーダーだったら」と仮定し、支援物資をどのように配布するか考えた。避難所には同世代の子どもだけでなく、乳幼児、高齢者、障がい者など様々な人がいて、優先順位を決めるのは容易ではない。生徒は過去の事例を調べながら自分の考えをまとめ上げた。この時、数学で培った「根拠を示す力」が役立った。関卓朗教諭は「様々な立場を想像することで視野が広がる。R-プログラムを通じ、自ら考える力が着実に育まれている」と話す。
どのような環境でも「生き抜く」力を
「自ら考える力」はキャリアデザイン教育の基盤でもある。『行ける大学よりも行きたい大学へ』をスローガンに掲げる同校では、一人ひとりの内発的な動機づけを重視。その際役立つのが“逆算”の考え方だ。「早い段階にこそ遠い未来図である社会や働くことについて知ってほしい。大きな針路が見えれば、その途中にある島(大学)を選ぶことができるからです」と平林重郎教頭。自分が働く姿をと想像できるよう、中1で卒業生による「職業講話」を実施し、中2で地元・西馬込を舞台に「職業理解」を進める。
そして、中3で行うのが「職場体験」だ。約40の様々な分野の事業所・店舗の中から数人単位で行き先を決定し、3日間働く。あえて少数で行くのには訳がある。「仲間で乗り越えるのではなく、なるべく独力で頑張ってほしいから。初めは不安だったけれど大丈夫だった、そう実感してほしい」(平林教頭)。仕事ではやりがいや楽しさもあるが、迷惑をかけたり失敗することもある。それらを含め大人や社会は生徒を受け入れてくれる。「社会って怖くないんだ、と実感できると、そこに進みたいと思う推進力が生まれる。そして、目指した先がどのような環境であっても必ず生き抜いて欲しい。そんな思いで日々生徒と向き合っています」。
生徒の根源的な成長を真摯に見守る同校。その魅力は、生徒と教員の対話の中に宿っている。
学校データ(SCHOOL DATA)
所在地 | 〒143-8557 東京都大田区西馬込1-5-1 |
TEL | 03-6303-7683 |
学校公式サイト | https://www.rissho-hs.ac.jp/ |
海外進学支援 | 有 |
帰国生入試 | 無 |
アクセス | 西馬込駅(都営浅草線)徒歩5分 川崎・五反田間 東急バス「立正大学付属立正中高前」下車2分 |
国内外大学合格実績 (過去3年間) | 京都、東京工業、一橋、東京農工、東京学芸、東京藝術、東京海洋、帯広畜産、東京都立、横浜市立、高崎経済、早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、国際基督教、学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政、成蹊、成城、東京慈恵会医科など |
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