女子美術大学付属中学校

”好き”を追いつづける姿こそ、女子美生の姿

“好き”を追いつづける中高大10年。ビジネスへの広がりが新しい社会を開く

【注目ポイント】

  • 中学で、絵画とデザインを学び、作品制作で描く喜びを体験。
  • 高2で「絵画」「デザイン」「工芸・立体」から1コースを選択。
  • 次世代リーダーを育成する、女子美術大学の「共創デザイン学科」。

注目されるデザイン思考とアート思考

近年、中学受験で高い人気を誇る女子美術大学付属中学校。その背景には、ビジネス界でデザイン思考とアート思考が大きな注目を集めていることがある。

社会は急速に変化し、既存の枠組みを超えることが求められている。広報部主任の並木憲明教諭は、「現代のビジネス界では、顧客の要望を満たすだけでなく、新しい価値の創造が不可欠です。イノベーションという言葉が示すように、既存の概念を根本から変革するビジネスや商品、サービスが求められています。さらに、AIの急速な台頭により、『オリジナリティや人間にしかできないこと=美術』という認識が広がり、本校の教育に大きな関心が寄せられるようになりました」と語る。

美術教育の本質は、単なる技術の習得を超えた創造的な営みにある。同校が求めているのは、単なる技能ではなく、ものづくりや美術への情熱を持つ子どもたちだ。女子美は、そうした子どもたちの発想や創造性を大切に育み、個性を尊重しながら可能性を広げていく。「デザイン思考やアート思考の根幹には『個』の存在があります。画一化が求められる環境では、独自の感性や創造性は育ちません。本校では、型にはめず、個々の生徒の『らしさ』を尊重し、育てていくことを何よりも大切にしています。一人ひとりの異なる表現や感性が、互いの学びを豊かにするのです」と並木教諭は強調する。生徒一人ひとりの個性や創造性こそが、同校の最大の資産なのだ。

デザインとアートは、同校の教育において重要な柱となっている。これらは単なる技術や表現方法ではなく、社会の変化に対応する創造的な思考プロセスそのものだ。AI時代だからこそ、人間にしかできない独自性や創造性が求められている。生徒たちは、美術を通じて既存の枠組みを超える柔軟な思考を培っていくのだ。

作品制作は自己と向き合う大切な時間
作品制作は自己と向き合う大切な時間

大学へとつながる中高の段階的な学び

同校の教育理念は、「智の美」「芸の美」「心の美」という三つの美を育むことを基盤としている。常に「美」を探究し、どの教科も「美術」を基幹とした教科横断型の授業で学ぶため、生徒の学習意欲も高まる。単なる知識の蓄積や技能の修得にとどまらず、女子美独自の教育によって「全教科で育む幅広い知識に加え、美術を探究することによって培われた非認知能力」が培われていくのだ。

中学における美術教育は、生徒たちの可能性を最大限に引き出す、柔軟で創造的なアプローチを採用している。

中1・2では、絵画やデザインの既存の枠組みを超え、伸び伸びとダイナミックな作品制作を通じて、描く喜びそのものを体験する。中3では、より専門的な技法へと進み、構図や明暗の捉え方といった具体的な絵画表現を学ぶ。同時に、デザインの授業では、地域に根ざしたパッケージデザインや公園の遊具をテーマに、実社会に役立つ創造的な課題に取り組む。

デザインは単なる表現ではなく、依頼者の希望に対応しながら、デザイナー独自の自由な発想を付加する、より社会と密接に結びついた営みである。生徒たちは、絵画やデザインの授業を通して、自分の生き方、そして社会との関わりを探求していく。

高1になると、「絵画」「デザイン」「工芸・立体」をそれぞれ学び、高2からは自らの「好き」を追求するため、これらのコースから1つを選択して集中的に学ぶ。

同校の教育は、高校卒業後も続く。8割以上の生徒が女子美術大学に進学し、自身の「好き」をさらに深く追求する。美術学科、デザイン・工芸学科、アート・デザイン表現学科、共創デザイン学科の4学科と短期大学部は、それぞれ独自の専門性を持ち、ビジネス界、特にデザインやアートの分野で活躍する多様な人材を輩出している。

並木教諭は「女子美術大学へ進学する場合、受験勉強に惑わされることなく、自分の内なる『好き』を深く追求できるのが本校の強みです。中学では自分の好きを見出し、高校ではそれを徹底的に極める。何らかの型にはまることが求められることが多い現代社会において、本校では生徒たちの個性を大事にし、相似形で大きく育てていくのです。そのため、卒業生たちは生涯にわたって、自分の『好き』を追求し続け、年齢を重ねても衰えることのない創造性とエネルギーを発揮しています。本校の教育の真価は、まさに卒業生たちの生き方が物語っています」と胸を張る。

新時代に必要な「共創型リーダーシップ」を育む

新時代に必要な「共創型リーダーシップ」を育む

注目の女子美術大学・共創デザイン学科

2023年に新たに設置された女子美術大学の「共創デザイン学科」は、まさに現代社会のニーズに応える先進的な学びの場となっている。社会が大きな転換期を迎える中、複雑な課題を一人で解決することは困難になり、多様な才能を結集し、対話を重ねながら共に価値を生み出す「共創の時代」へと突入している。この時代において、女性特有の他者への共感力とコミュニケーション力が重要視されている。共創デザイン学科は、まさにこの時代の要請に応えて誕生した。グラフィック、プロダクト、ビジネス、テックデザインの基礎を学びつつ、大手飲料メーカーや大手製造業といった日本を代表する企業との産学連携プロジェクトで、リアルな課題解決に取り組む。多様な人々と新しい価値を創造する「共創型リーダー」の育成を目指している。

この学科の特徴は、単なる技術習得にとどまらない、徹底的な実践型学習にある。学生たちは、企業が直面する複雑な社会課題や市場ニーズを深く分析し、従来の枠組みにとらわれない革新的なソリューションを提案する。地域の課題解決や持続可能な製品開発、ユーザー体験の再設計など、実社会で求められるリアルな課題に、多角的な視点とデザイン思考で挑む。プロジェクトでは、企業の担当者や異分野の専門家と直接対話し、徹底的な調査とプロトタイピングを繰り返す。そのプロセスを通じて、学生たちは単なる知識ではなく、課題発見力、対話力、構想力、チームワークなど、これからの時代に不可欠な実践的スキルを磨き上げていく。

企業との協働プロジェクトは、学生たちにとって単なる学びの場ではない。社会の最前線で、自らのアイデアを具現化し、イノベーションを起こす実践的な挑戦の場となっている。学生たちは、企業が抱える複雑な課題に対し、柔軟な発想と創造的なアプローチで挑戦し、時代が求める即戦力としてのスキルを在学中に磨き上げていく。

美術視点で社会を変える卒業生たち

女子美の教育は、生徒たちの多様な才能を開花させ、社会の第一線で活躍する卒業生を数多く輩出してきた。キャラクターデザインの世界で独自の地位を築いたクリエイター、世界的に評価される映画の美術監督、今日の視覚文化を牽引するアートディレクター、美術界で注目を集めるアーティストたち。美術、デザイン、メディア、企画、教育など、様々な分野で、卒業生たちは自らの「好き」を仕事に昇華させ、日本の文化とクリエイティブ産業に大きな影響を与え続けている。彼女たちの多くは、女子美で培った創造性と探究心を糧に、それぞれの道で独自の表現を追求し、社会に新しい価値を生み出している。

「美術が好き、ものづくりが好き、あなたの好きを伸ばす。この言葉に心が共鳴するなら、本校は必ずやあなたの可能性を無限に広げる、真の学びの場となるはずです」並木教諭は力強く語ってくれた。

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒166-8538 東京都杉並区和田1-49-8
TEL03-5340-4541
学校公式サイトhttps://www.joshibi.ac.jp/fuzoku
海外進学支援
帰国生入試
アクセス東高円寺駅(東京メトロ丸ノ内線)徒歩8分
国内外大学合格実績
(過去3年間)
女子美術、東京藝術、武蔵野美術、多摩美術、東京造形、日本(芸)、東京都立、慶應義塾、国際基督教、学習院、立教、青山学院、立命館アジア太平洋など

【関連情報】

互いに個性を認め合いながら伸びる。まるで留学しているような校風の学校

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