巣鴨中学校

社会変革を起こす学びと人との出会いが、知識と社会をつなげ、高い目標を導く
【注目ポイント】
- ハーバードやMITでの哲学的対話が社会変革の力を養う。
- 巣鴨OBや研究者との出会いが生徒の羅針盤となる。
- 伝統と未来の創造が交差する町で議論を交わし、正解なき問いと向き合う。
ボストンで社会変革を起こす学びを体感
“真の国際人”を育成する独自の国際プログラムを提供し続ける巣鴨学園。高校生35名が参加した「ボストン研修」もその一つだ。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生たちとの議論、最前線で活躍する研究者や起業家との出会いが「生き方」そのものを問い直す体験となる。
ハーバードでは、5回にわたるワークショップで学生たちがメンターとなり、白熱した議論が展開された。テーマは「成長思考(グロース・マインドセット)」「リーダーシップ」「意思決定」「同調」など。NHK『ハーバード白熱教室』を彷彿とさせる哲学的対話の中で、生徒たちは正解のない問いに向き合う。例えばトロッコ問題のようなモラルジレンマについて、ハーバードの学生と英語で意見を交わし、深めていく。時に議論は予想を超えて発展し、野球部員が多かったグループでは成長志向の議論の後、「コーチングとティーチングの違い」という概念を自分たちの部活動に当てはめ「三塁コーチャーはコーチングなのか、ティーチングなのか」と熱く語り合った。さらに印象的だったのは、ハーバードで小児医療の研究と臨床の最前線に立つ巣鴨OBによる講演だ。「実は巣鴨には追加合格だった」と謙遜するOBだが、現在はハーバード大学教授として世界トップレベルの研究を行う。その言葉は、生徒たちに「努力で未来を切り拓ける」という確信を与えた。
MIT訪問では、技術が社会をどう変えるかという視点が加わった。元MIT博士研究員で、現在はスタートアップ企業を立ち上げた日本人研究者の講演では、「膜」の技術で世界の水問題を解決するという壮大なビジョンが語られた。研究を社会実装するための起業という道筋を示されたことで、生徒たちは「学問が社会貢献に直結する」という実感を得た。夜には現役のMIT生もホテルに訪れ、「遠い存在だったスーパーエリートが、実は自分たちと地続きの場所にいる」という発見があった。
訪問先は大学だけに留まらない。Google社で出会ったのは、空港やアクアリウムをコンセプトにした自由な空間で、カフェのようにリラックスしながら仕事をする社員たち。オフィス全体が「自由な発想」を体現していた。そこで働く若手エンジニアは、渋滞緩和システムの開発など社会問題の解決に情熱を注ぐ。生徒たちは、イノベーションを生み出す環境が、単なる設備の充実ではなく、「社会を変える」という明確なビジョンと自由な文化から生まれることを体感した。
帰国後、生徒たちに変化が現れた。「授業中、以前より一歩踏み出すようになった自分に驚いている」と語る生徒。「研究者になりたい」という漠然とした夢が、「研究者となって憧れの教授と語り合うために、今何をすべきか」という具体的な目標に変わった生徒。彼らは、失敗を恐れず挑戦する姿勢を掴んで帰ってきた。それはまさに、ハーバードで学んだ「グロース・マインドセット」であり、巣鴨が掲げる「努力主義」との共鳴だ。同行した松井慶太教諭(国語科)は「実感を持って刺激を受け、心に火をつけて帰ってくる。まさにコーチングだった」と語る。ボストン研修は、世界で活躍する人々との出会いを通じて、生徒一人ひとりが自分の羅針盤を手にする旅となった。

英国を縦断する探究フィールドワーク
2024年からスタートしたSBB(巣鴨ビヨンド・ボーダーズ)は、夏休み中の2週間をかけてスコットランドからロンドンまで南下し、英国の歴史や文化を体感し思考する学びだ。追求するテーマは「冒険・自立・国造り」。現地で指導に当たるのは、英国イートン校サマースクールの最高責任者を務めたチャーリー先生をはじめ、現役のイートン校体育科主任、イートン校出身でウェリントン校の現役歴史教員の3名。巣鴨が英国イートン校サマースクールで構築した人脈から錚々たる面々を揃えている。
プログラムでは体験重視を徹底。生徒たちは〈観察→まとめ→議論→内省〉という学びのサイクルを毎日行う。同行する教員たちは現地で歴史的背景などの説明を必要最低限にとどめる。これには自分の目で見て気づく力、observation skills(観察技術)を身につけさせる狙いがある。その上で、各班に1人付く英国人大学生のグループリーダーと班ごとに随時議論し、1日の日程を終えると3人の教員が加わり、生徒へ問いかけ、さらに深い内省へと導いていく。

正解のない問いに向き合い続ける力を育成
SBBでは英国社会の影とも言える部分も、安全性を担保した上で詳らかにしている。最も真剣に議論が交わされたのは、移民が多い街・ブリックレーンでの体験だ。参議院選直後だったこともあり、争点となった外国人受け入れについて、生徒たちは自分たちの問題として向き合った。町中に落書きがあり、生徒たちは「怖い」と口にする。しかし目の前の事象はその発露に過ぎない。「自分たちの文化を変えずに広めていくのが自然の成り行きであり、当然そこには摩擦も起こる」と教員は語りかけ、本質を見極めるための議論を促す。生徒たちは日本のコンビニやレストランの店員に外国人が多い現実を思い浮かべながら、「政府はどういう準備が必要か」「ルールに従わない場合はどうするか」「深刻な労働力不足はどうするか」と議論を交わした。答えは出ないが、考えるべき問題がどこにあるのかを見極める訓練となった。バイキングの影響が残る町・ヨークでも、異文化流入について学びを深めた。異文化の流入は経済の活性化にはつながったが、文化や価値観、生活習慣の違いにより社会的秩序の乱れも生じた。異文化流入は経済面と社会秩序双方の観点から考える必要性があることを、生徒たちは実感していく。
また教会などの建築物を見学することで宗教と都市や人々との関係を考察するほか、心の拠り所となっていた当時の教会の役割についても学んでいった。特にバイキングの来襲後、貴重な書物等をダラム大聖堂に移動させ死守した歴史は、人々にとっての文化や思想、精神性の大切さを物語る。これは社会や国の核となるものが何であるかを思考する端緒となっていく。さらに2時間で英国2000年の歴史を辿る野外演劇も鑑賞したほか、今年はケンブリッジ大学も訪問し教育の伝統に触れた
「帰国した生徒からは『考える癖がついた』『日本のことを知らないことに気付いた』『考えなければいけないテーマがいっぱい見つかった』などの声が聞かれた」と山崎大輔教諭(社会科)。人口にかいしゃする"多様性"への疑問や国際人とは何か、自国文化の理解、本質を見極める思考の大切さ。SBBもまた正解のない問いに向き合い続ける力を育む場となっている。
その他の国際プログラムと海外進学への道
上記の他にも「巣鴨サマースクール」はイートン校サマースクールと同様の体験を国内合宿で行い英国人講師から学ぶ。医療をテーマに据えた「Double Helix:Translation Medicine」では第一線で活躍する英国人医療関係者が来日。ハイレベルな講義内容に加え、生徒が強い印象を受けるのが講師たちの失敗談だ。失敗を通じて人格が磨かれた過程、活躍する現在の姿を知ることで、生徒は現状や未来においての勇気と希望、学びへの意欲をかき立てられている。
最後に、海外進学で特筆すべきは、英クライストカレッジ・ブレコン校との「フレンドシップアグリーメント」だ。この制度でオックスフォード、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンなどの大学進学者を輩出している。
学校データ(SCHOOL DATA)
| 所在地 | 〒170-0012 東京都豊島区上池袋1-21-1 |
| TEL | 03-3918-5311 |
| 学校公式サイト | https://sugamo.ed.jp/ |
| 海外進学支援 | 有 |
| 帰国生入試 | 有 |
| アクセス | 大塚駅(JR山手線)徒歩10分、北池袋駅(東武東上線)徒歩10分 池袋駅(JR線、西武池袋線、東京メトロ丸ノ内線・有楽町線)徒歩15分 板橋駅(JR線)徒歩15分、東池袋駅(東京メトロ有楽町線)徒歩15分 西巣鴨駅(都営三田線)徒歩15分、巣鴨新田駅(都電)徒歩8分 |
| 国内外大学合格実績(過去3年間) | 東京、京都、東京科学、一橋、北海道、東北、大阪、神戸(医)、筑波(医)、千葉(医)、信州(医)、富山(医)、福島県立医科、防衛医科、防衛、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、明治、東京慈恵医科、日本医科、順天堂(医)、昭和医科、東京医科、東邦(医)、日本(医)、北里(医)、国際医療福祉(医)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、インペリアル・カレッジ・ロンドン、エジンバラ、シドニー、ハンガリー国立(医)など ※海外提携校への転籍者含む。 |
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