目黒日本大学中学校

校内にも町にも目を向け、光を照らせ! 人との交流で人間力も育まれる生徒たち
【注目ポイント】
- バランスのよい認知・非認知能力がしなやかな強さと自立を促す。
- 学内外で存在感を増す生徒会活動は多様な体験と学びの宝庫。
- 芸術的卓越性と学業・人間形成の統合モデルとして優れる演劇部。
人として生き抜く基礎を磨く学内環境
創立は1903年。「質実剛健」と「優美高雅」を掲げ女性の地位の向上を目指し、女子教育をリード。男女共学となってからも120余年の歴史と共にある建学精神は健在で「しなやかな強さを持った自立できる人間を育てる」の教育理念の下、小野力校長は「強い風を受けても竹のようにしなりながら健やかに伸びるように」と願いながら、学びの環境を整えている。
「スポーツや芸能に秀でるという看板を掲げてきましたが、本筋は学校の名を上げるのではなく、子どもたちに人として社会に出て生き抜くための人間力を身につけてほしい」と話す小野力校長が目指すのは「認知」と「非認知」両能力のバランスのよい生徒の育成だ。認知(学問的スキル)のみならず、非認知(コミュニケーション力、リーダーシップ、チームワークなど)を多様な活動を通じて育てていく。
学習分野で非認知能力を高めるのは、中高一貫6年間を活かして体系化された探究型学習プログラム。中学3年間ではフィールドワークに重きを置き、中1は京都・奈良で日本文化を探訪、中2は東北・北海道で環境問題やSDGsを研究、中3はオーストラリア短期留学で国際理解とテーマが進行する。「探究過程で育む物事を深く問う力は、日々の学習や質問の姿勢に繋がります。認知と非認知は影響し合い、片方が上がればもう片方も上がりますから」と小野校長。海外と繋ぐオンライン会話や英語のホームルームを中1から取り入れ、3年間で英検資格の取得を目指すなど、海外留学へ向けた仕掛けもぬかりない。一方で、中高のグループで近郊の自然観察や日本大学生物資源科学部の授業見学を行うなど、目黒日本大学ならではの活動も盛り込まれている。さらに2025年春設置の「学び場」は生徒が自学自習に活用できる場所。常駐の専任スタッフが随時質問に応えるなど、放課後19時までを有為に過ごせる環境として見逃せない。
見逃せないといえば、大学附属の強みを発揮する医歯薬獣医の学部への進学もある。資格を得るのは国家試験だけに、内部進学制度は大きなメリットだ。2026年度入試では中高一貫から2名の生徒が日本大学医学部へと進学している。

地域からも学びを得る生徒会活動
「学力」との両輪を担う非認知能力である「人間力」の成長を促す好例が、同校の生徒会活動だ。中高6学年の全校生徒で構成される生徒会役員は、選挙を経て選ばれた会長、副会長、一般役員の18名で組織され、41の部活動と同好会をフォローしながら、8つの専門委員会を運営している。
年間行事においても生徒会の存在感は大きい。始業式や終業式、卒業式での挨拶や表彰など式典関係はもちろん、新入生へのオリエンテーションや部活紹介、6月のすずかけ祭(文化祭)、10月の体育祭、11月の文化部合同芸術祭の運営に携わり、ほぼすべての催しで役割を果たしている。
「すずかけ祭」の名は先の大戦で焼けずに生き残り、奇跡の木と呼ばれ精神的支柱となった「すずかけの木(別名:学問の木)」に由来する。文化祭を盛り上げたいという生徒会から名称の候補を示された当時の荒川校長が選択。生徒会の気持ちが込められた文化祭と言っていいだろう。
「そのすずかけ祭の中に私も入りたくて」という中3のOさんは、行事の見学に訪れた小5のときに会った生徒会役員の印象が素敵だったのが生徒会立候補の動機だと話す。入学してから生徒会活動に触れて感じるところがあり立候補したという中2のHさんは「先輩方から学ぶことが多く、達成感があります」と笑顔を見せた。「頑張っている人たちに光を当てるのが好きなんです」というTさんは中1で生徒会に入り4年目の高校1年生。裏方として舞台照明を手がけると共に、YouTubeライブ配信も実施。複数のカメラを駆使して、来場できない保護者にプロ並みの映像を届けている。
活動は学外に広がり地域連携にも及ぶ。飲食店数軒と提携する弁当を文化祭で販売する一方で、地元のお祭りに屋台を出店。「定番の飲食物だけでなく子どもたちが喜びそうな品を考えて仕入れるのも楽しい」と執行部。さらに目黒区と区の商店街連合会と中高生とで構成される目黒区ミライ会議にも参画。毎月の会合でアイデアを出し合い、イベント本部運営やボランティアを通じて地域活性化に取り組んでいる。生徒会長と演劇部との二刀流をこなす高2のKさんは授業で学ぶ探究学習のノウハウが役に立つと述べ、「高2の僕たちが上手くできたことを後輩たちへ繋げたい」と、学業と相互に結びつく生徒会活動の姿を話してくれた。

チーム力を発揮する演劇部の人間教育
生徒会長のKさんの所属する演劇部の公演は年間20回を超える。通信制課程を含め多様性溢れる中高総勢77名が集う大所帯では、練習時間を合わせるだけでも大変だ。個々の予定をすべて一覧にしてイベントの日を決め、いつ何を準備するかを詰める。「一覧表の管理と調整は部員が自主的に。彼らはチームとして機能していますから」と、高3の学年副主任と演劇部顧問を務める英語科の今井友也教諭。「彼らのチーム力には本当に驚かされます」と話してくれたのが、2025年末の公演直前に部を襲ったインフルエンザ禍のエピソード。一度に10人が倒れ万事休すかと思われたとき、残りの部員たちが見事にその穴を埋めたという。「本番のキャストはAからDまで用意してはいるのですが、さすがにDに出番は……と普通なら思うところ、Dまで全員が完璧に仕上げていたのです。一人ひとりの姿勢に思わずグッときましたね」
目的達成のために手を抜かないのは、今井教諭が常日頃諭す「当事者意識を持ち、他人事にしない」を体現したものだ。その上で「自分にとって演劇はなんのためか、入部のきっかけを大事に」「一人でも観客がいれば舞台に全力を尽くすホスピタリティを大切に」と説く今井教諭は、部活の目的を「演劇の大会は技術点のないフィギュアスケートみたいなもの。採点に一喜一憂せず“賞よりSHOW”の精神で観客を喜ばせよう」と部員に伝え続けている。演技、照明、音響、舞台美術からフライヤーデザインまで生徒主体で運営しながら、日本大学芸術学部との強い高大連携によって経験を詰む部員たちは「プロのスタッフが組みたいと言ってくれる」レベルに達し、卒業後は日本大学芸術学部へ進学する例も多い。
地域イベントでの定期公演など生徒会とも重なる活動分野では、公演会場に合うテーマで新規に脚本を起こすなど地域社会に寄り添う姿勢が魅力。「“優しいね”“優しくないよね”が最近の口癖で。されて嫌なことはしない、してもらって嬉しいことをする。演劇は総合芸術ですから様々な知識や技術を身に着けられますし、セリフにないときの表情や仕草を深く考えることでコミュニケーションの機微を分析し消化する作業を常に積み上げています。部活を通じて社会で役立つ基本は育つ。そこに社会や他人への“プラス優しさ”を追求したいですね」と今井教諭は語る。
バランスの取れた進学校へと成功裡に移行しつつ、芸能に強い伝統も維持する目黒日本大学における学内外のあらゆる活動は、認知・非認知能力育成のための多様な学びへと通じている。地域を巻き込み自らの未来を築く生徒たちに期待したい。
学校データ(SCHOOL DATA)
| 所在地 | 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-6-15 |
| TEL | 03-3492-3388 |
| 学校公式サイト | https://www.meguro-nichidai.ed.jp/ |
| 海外進学支援 | 有 |
| 帰国生入試 | 有 |
| アクセス | 目黒駅(JR線、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線)徒歩5分 |
| 国内外大学合格実績 (過去3年間) | 東京外国語、東京学芸、電気通信、お茶の水女子、横浜国立、埼玉、山形、京都教育、東京都立、横浜市立、防衛、防衛医科、慶應義塾、早稲田、上智、日本(医)、杏林(医)、埼玉医科、東海(医)、久留米(医)、東京理科、明治、青山学院、立教、中央、法政、学習院、日本など |
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