日本女子大学附属中学校

IT を採り入れた教科連携の授業

文化の薫りが満ちる“森の中の学校” 広がりを見せる教科連携のIT授業

注目ポイント

  • 緑豊かな自然と様々な芸術が満ち溢れたキャンパスが感性を育む。
  • 実生活との繋がりを重視する生きたIT教育を生み出す情報連携授業。
  • 多様な価値観を認めつつ自分らしさを生かしながら協力し合う校風。

感性を高める豊かな自然とクラブ活動

1901年から120年以上の歴史を刻む日本女子大学。創立者成瀬仁蔵は「自学自動(自分で考えて自分で行動する)」の教育方針を掲げ、中・高を含めた生涯教育の組織を創り上げた。人格形成を見据えて成瀬が遺した三綱領「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」の実践に日々努める生徒たちは、緑豊かな里山に広がるキャンパスで、学習に、クラブに取り組む。中学に9、高校に16ある運動系クラブと、同じく中学に14、高校に24の文化系クラブは、「自学自動」と三綱領を身につけることを目標として積極的に活動している。

対外試合の多い運動系に対し、文化系クラブの晴れ舞台の一つは文化祭だ。高校では13団体が参加するステージはまさに百花繚乱。

歴史ある「演劇」は、関東大会に進出した実績を持つ正統派のクラブ。「見ている人の心に響く舞台を作りたい」と願うクラブ員の集う「ミュージカル」の舞台は校内投票で多くの支持を得ている。宝塚歌劇団を中心とした華やかなレビューショーを研究発表する「レビュー」は全国でも類を見ないクラブ。ひとたび舞台に上がれば超満員のホールには応援の声が響き、歌劇場かと錯覚させるほどのパフォーマンスを見せる。保育園や障がい者施設に公演を届ける「人形劇団ペロッコ」は、手作りの人形を使って物語に込めた豊かなメッセージを伝える。

ステージ発表でも研究成果を発表する展示会場でも、参加団体が互いに尊敬し合い、高め合いながら活動していることを実感させられる。

高校ミュージカルクラブ

バイオリン必修の音楽授業

他のすべての教科と同様に芸術科の授業にも力を入れている。中でも今回は音楽会前の中学校を紹介する。声楽とともにバイオリンが3年間必修。ほぼ全員が初心者からスタートし、持ち方、姿勢、音の出し方から一つずつ練習を重ね、身につけた成果を音楽会で披露する。

本番に向けて仕上げをする1年生の授業では、熱心にバイオリン演奏に臨む姿があった。自分の演奏に気を取られて音楽教諭の振る指揮棒にまで注意が及ばない生徒も、繰り返し弾くことで形になっていく。

「音楽科では、普段の生活では出合わない多岐な音楽を紹介するよう心がけています」と語る広報部主任の森田真教諭が案内してくださった大ホールでは、3年生が合唱曲『メサイア』の練習中だった。「音楽会は中学校生活の締めくくり。下級生は3年生の歌う姿を見て、これを継承していくんだという気持ちを新たにする機会でもあります」と森田教諭。育んだハーモニーは仲間との絆の証だ。協力して一つのことをやり遂げる喜びや他者と協調する姿勢をも育む。

中学校の音楽祭

IT教育と繋がった技術・家庭科

創立以来家庭科教育に定評のある同校は、情報分野に磨きをかけるべく、NPO法人みんなのコードとの連携を深めている。ITを活用して日常生活と繋げる取り組みを、NPOとともに考案したものを教材に、課題解決ツールとしてのプログラミング技術や生成AIを活用していく方法を、体験を通して考えている。

参観した高校の家庭科では「17歳女子にふさわしい一日2300kcalの献立」を、日本食品標準成分データベースを活用しながら組み立てる授業が行われていた。栄養素の六角チャートがバランスよく整うようにPC上で試行錯誤する生徒たちを、家庭科教諭と情報科教諭が連携してサポートする。従来は手計算だった作業を瞬時にチャートを確認しながら進められるのは、IT技術を効果的に活用するからだ。

「創造的に取り組み、実生活との繋がりを体感する」同校独自のIT教育カリキュラム。次に中高6年間の大きな流れを見てみよう。

中1はまず、情報との正しい向き合い方を学ぶ。インターネットで検索したゆで卵の殻の剥き方を実践し、情報が正しいか確かめることの重要性を体験する。併せて、生成AIのしくみを理解し、検索と生成の違いを知ることで、ハルシネーション(学習した内容を元に確率で文章を生成するしくみ上、誤った内容が生成される可能性があること)についても学ぶ。「『危ういから使わない』ではなく『よりよい未来を作るための道具』として前向きに活用する姿勢を伝えます」と中学の國澤恒久教頭は言う。

中2では実践的な課題に取り組む。栄養素や献立作成の基礎となる知識を身につけた後、生成AIを活用してテーマに合わせた自己流の献立を作成。AIの強みと人間の強みをうまくかけ合わせて活かす方法を学び、よりよいプロンプトを作るために自分の考えを具体的に言語化する練習をする。

中3になると生成AIの学習のしくみを学び、画像生成、画像認識、文章生成などを組み合わせた多角的な活用を試みる。自分たちで課題を設定することで、カメラに写った人物のコーディネート提案アプリや、視覚障がいの方も楽しめる絵画を声で聴くアプリなど、個性的なアプリ開発に取り組む。また、学習データのバイアスの危険性や生成と著作権の関係についても考える。

IT を採り入れた家庭科の授業

様々な教科と連携する高校IT教育

高1では情報科の授業で、プログラミングを含めて網羅的にITの基礎を固め、高2ではオンライン教材で学びを深めながら各教科と連携する学習を進める。選択授業となる高3の「情報II」では標準的なシステム設計を学びながらウェブアプリを作成。「情報総合」では情報系ニュースにアンテナを張りつつ、アプリケーションのより深い使い方や、micro:bitを用いたマイコン制御などを実践する。

「社会の課題をITスキルで解決できるように情報連携授業をより強化しています」と理科・情報科を担当する高校の平井俊成教頭は語る。各教科の教員が課題を提供し、生徒と一緒に実験、実習、課題解決に挑む「情報連携授業」は理科をはじめ国語、数学、社会、英語、家庭科などあらゆる教科で実績を重ねている。

授業の枠を超え、さらに学びを深めたい生徒には、外部機関との発展的な学習機会も設けている。「著名なIT企業を訪問し、生成AIを使った新聞記事の作成やデザインシンキングなどを体験したり、順天堂大学と連携したスポーツデータ解析なども行っています。本校卒業生が各所との橋を架けてくれることもあり、生徒のキャリア意識向上にも繋がっていますね」と平井教頭は連携の手応えを語ってくれた。

学校活動に集中しやすいという日本女子大学附属中高では、生徒数の多さが多様なコミュニティを生み、一人ひとりに居場所があるという。「どのような興味・志向をもつ生徒でも自分らしく振る舞える環境と、文化祭や音楽会などの行事で見せる団結の美しさが両立するところが素晴らしいです」と平井教頭。

中学の國澤教頭からも興味深い話が語られた。「卒業生から『私はクラス全員と仲がいいわけではなかったけれど、みんなの考え方や好き嫌いまで、とても深く知っています。発表や表現の機会が多く、濃密な自己紹介を何度も何度も聞いているようなものだったから』と聞きました。これは本校らしさをよく表しています」

一人ひとりが自分に向き合い自分の価値観を発信する。異なる価値観もお互いに認め合う。それだけで終わらず、団結すべき時には、共に歩んで一つの物事を成し遂げる。創立以来の教育理念は、現在の校風にしっかり根付いているのだ。

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒214-8565 神奈川県川崎市多摩区西生田1-1-1
TEL044-952-6705
学校公式サイトhttps://www.jwu.ac.jp/jhsc/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス読売ランド前駅(小田急線)徒歩10分
京王稲田堤駅(京王線)よりバス「女子大前」下車
京王よみうりランド駅(京王線)よりバス「女子大前」下車
国内外大学合格実績(過去3年間)東京、東京科学、北海道、東北、東京外国語、東京学芸、東京藝術、お茶の水女子、横浜国立、新潟、香川、横浜市立、防衛医科、慶應義塾、早稲田、上智、国際基督教、東京理科、学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政、関西、関西学院、日本医科(医)、順天堂(医)、北里(医)、国際医療福祉(医)、聖マリアンナ医科(医)、帝京(医)、東京医科(医)、東京女子医科(医)、昭和医科(医)、杏林(医)など

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