普連土学園中学校
「1日午後算数入試」から高度な学力へ 思考力と記述力をUPして難関大を突破
注目ポイント
- 入学後も高い学力をキープする「1日午後算数入試」
- 「学び合い」を大切にする女子校ならではの教育で実力を底上げ
- 理数教育で得た力を課外活動で応用し、世界レベルの活躍を遂げる生徒たち
算数の実力をバランスよく見る入試 超難関校との併願パターンも
国際連盟事務局次長も務めた新渡戸稲造が、キリスト教フレンド派に助言して創立された普連土学園。2019年度より導入した算数1科目による「1日午後算数入試」は、試験時間は50分間、出題数は50問。計算問題等の基礎基本や処理能力をはかる問題に加え、定理や知識を活用する力や柔軟性の求められる問題が出題されることが特徴だ。
幅広い分野からさまざまなタイプの問題が出題されるとあって、算数の実力が如実に反映される。トップグループ校志望者が併願して受験するケースも多く、受験生の学力は非常にハイレベルだ。この入試を経た生徒は、入学後、学年が進んでも数学の成績で高いレベルを維持している。この試験に確かな手ごたえを感じ、数学科主任の片山聡一郎教諭は「『1日午後算数入試』の出題については毎年問題を見直し、ブラッシュアップしている。短いながらも読解力や状況把握力を問えるような問題を出題したい」と語る。
思考力と記述力をアップして数学を本質から理解する
同校の数学科では、数学的な基礎力と思考力をはぐくむ授業を展開している。中1から高2ではクラスごとに2名の教員を配置してティーム・ティーチングや分割授業を行い、手厚い指導がなされている。
問題を解くだけでなく、生徒同士でのペアワークの機会をつくり、互いに説明したり、教え合ったりすることで数学力の土台となる用語や定義、定理を確実にマスター。「本校では、『なぜ、そうなるのか』と考えてもらうことを重視しています。例えば定理にしても、ただなんとなく暗記してしまうのでなく、成り立ちを説明したうえで本質的な理解をしてもらうよう心がけています」と、片山教諭は語る。
教科書の単元が終わるごとに思考力問題を実施。難易度の高い問いに挑戦する。解き方を覚え、それに当てはめるだけでは越えられない数学の壁がある。感覚で解くのではなく、自分で試行錯誤して、規則や法則を見つけながら答案を仕上げていくことは難関大学の入試問題にもつながっていく力だ。それゆえ、着実に思考を積み上げられるようにと途中式や考え方を記述してもらうことも同校の入試、ひいては入学後の数学教育のこだわりだ。
普連土学園理科部、大躍進! 理数教育が広げる可能性と未来
日頃の理数教育で身につけた思考力を発揮して、課外活動でも大きな飛躍を見せる生徒たちがいる。同校の理科部ロケット班は、日本モデルロケット協会主催「ロケット甲子園」の上位常連校だ。2度目の出場となった2018年の第10回大会では強豪校を破って優勝。フランス・パリで行われたモデルロケット国際大会「IRC(International Rocketry Challenge)」に日本代表として出場を決めた。コロナ禍の間、国際大会自体の開催が見送られて来たが、「ロケット甲子園」では第12回大会まで連続優勝を果たし、今年のイギリス大会への出場権も獲得している。その活躍の様子はNHKの密着番組でも取り上げられた。中高生対象の大会とはいえ、到達高度や機体条件などは細かく規定されている。同校のロケット班は、高校生レベルをはるかに超えたデータ分析力と計算力、流体力学を駆使してモデルロケットを作製している。普連土学園の理数教育が生かされた事例といえよう。
目の前にある課題を分析し、必要な知識や道具を総動員して解決に向けて最後まで完遂する力。これはなにも学業だけにおいて役立つものではない。混迷を極める現代社会においても求められるものである。課題解決の過程は数学の問題を解く時にも通ずるものがある。同校の理数教育は社会に出てから役立つ力をつけることにもつながるのだ。
ここ数年、現役理系進学率は4割近くを占めており、これまでは文系学部中心に進学していた東京大学も、2021年卒業生の中には理科I類に合格した生徒もいる。普連土学園の理数教育の充実ぶりは、これからもますますの進化を遂げるはずだ。
学校データ(SCHOOL DATA)
所在地 | 〒108-0073 東京都港区三田4-14-16 |
TEL | 03-3451-4616 |
学校公式サイト | http://www.friends.ac.jp/ |
海外進学支援 | 有 |
帰国生入試 | 有 |
アクセス | 田町駅(JR山手線・京浜東北線)徒歩8分 三田駅(都営浅草線・三田線)徒歩7分 白金高輪駅(東京メトロ南北線)徒歩10分 |
国内外大学合格実績 (過去3年間) | 東京、一橋、北海道、東北、九州、筑波、東京農工、東京海洋、電気通信、東京外国語、東京学芸、東京藝術、お茶の水女子、横浜国立、千葉、信州、秋田(医)、福井(医)、佐賀(医)、大分(医)、山梨(医)、東京都立、横浜市立、川崎市立看護、防衛医科、東京女子医科(医)、慶應義塾、早稲田、上智、国際基督教、東京理科、パデューなど |