普連土学園中学校

昭和の名建築家・大江宏氏の設計による中学校舎

大学とのユニークな研究連携が広がる、日本で唯一のフレンド派の学校

【注目ポイント】

  • 「自由・平等・対話・平和主義」を基軸とする全人教育。
  • 中学校舎の建設由来の縁で始まった法政大学との中高大連携教育。
  • イギリス、カンボジア、アメリカでのオリジナル海外研修。

自然発生的な中高大連携教育

『武士道』の著者で国際連盟事務次長も務めた新渡戸稲造と近代日本を代表する思想家内村鑑三がアメリカに留学中、キリスト教フレンド派の人々に進言し、女子教育を目的として創立された普連土学園。フレンド派は歴史的平和教会の一つであり、様々な平和運動や奉仕活動に従事してきた。1947年にはそれらの活動の功績が認められ、アメリカ・フレンズ奉仕団とイギリス・フレンズ協議会がノーベル平和賞を受賞している。同校は、フレンド派の創始者であるジョージ・フォックスの言葉“Let Your Lives Speak.(自らの生き方をもって語りなさい)”をモットーに「自由・平等・対話・平和主義」を基軸とした教育を行っている。

毎朝の礼拝にもフレンド派らしさがある。中でも毎週水曜日は言葉を発することなく過ごす「沈黙の礼拝」で静かに自己と向き合う。キリスト教で重んじられる教義の一つである三位一体論でいう〈聖霊〉を、フレンド派では〈内なる光〉と言い換えている。同校の青木直人校長は語る。「〈内なる光〉は一人ひとりの中に内在しており、教会という権威を通さずとも、神様は各人に直接語りかけている。それを聴くために〈沈黙〉を大切にしており、フレンド派の信仰の本質でもあります」。このことは、自己主張よりもまずは他者の声に耳を傾ける姿勢を育む同校の教育の特色としても表れている。

ほかにも、礼拝では生徒や教員が自由なテーマで考えていること、感じていることを話す場面がある。「他者の話を聞いて多様な考え方に触れ、そこから気づきを得る。自分の世界が広がっていく。これこそが学びの原点だと考えています」と、青木校長は言う。

内面的な価値観のあり方は校舎の佇まいにも表れている。法政大学建築学科の礎を築いた昭和の名建築家・大江宏氏が手掛けた中学校舎はバルコニーが明るく開放的であるのに対し、室内は外光を抑えた落ち着いた空間となっている。これは大江氏が南ヨーロッパやパレスチナを旅した際に触れた南欧、とくにスペインの建築様式から着想を得たものだ。広報部長の池田雄史教諭は語る。「大江氏はキリスト教学校である本校の設計をするにあたり、聖書を読んだようです。中でもフレンド派が大切にした『ヨハネによる福音書』の『光は闇の中で輝いている。闇は光に勝たなかった』という一節とスペインでの体験が結び付き、暗さと明るさの対比の中から心の動きや落ち着きが生まれるというデザインコンセプトを導いたといわれています」

同校と大江氏の縁から2023年には法政大学との高大連携が始まった。同大学建築学科の小堀哲夫研究室が進める「大江プロジェクト」に中高18名の生徒が参加し、大学生と共に中学校舎の実測調査を行った。その後も活動は広がり、都内にある大江建築のフィールド調査に参画。3年間で約50名の生徒が大学レベルの事例研究に携わり、同校の教育の新たな柱として定着しつつある。

海外研修でも大学教授からレクチャー

法政大学との連携は海外の住環境に関する学習にも広がる。カンボジアで地雷撤去活動を行うアキラー氏(カンボジア政府認可NGO団体・CSHD)を支援する献金を行ってきた同校は現地に直接献金を届ける異文化交流研修「カンボジア アキラー プロジェクト」を行っているが、研修中に東南アジア最大の湖であるトンレサップ湖畔の高床式住居を訪れた際、同大学建築学科で住環境の研究を行っている加用現空教授と現地をオンラインでつなげ、リアルタイムでレクチャーを受けた。雨季と乾季の水位変化が住宅に及ぼす影響、気候と生活文化に適応した建築の形などを実地で学び、単なる海外理解ではなく、環境と建築の相互関係を捉える視点が育まれた。 

この異文化交流研修では、第1回に参加した生徒の希望から東京農業大学土壌学研究室との連携も生まれた。研究室を訪問し、カンボジアの農村の土壌汚染対策、水耕栽培の導入の可能性、土地の地力回復などの課題について、専門性の高い学びを得た。

米アーラム大学での研修プログラムがスタート

工学系進学者の増加と海外進学

これらの取り組みは生徒の進路選択にも広がりを生み出す。特に建築や都市環境、デザインなどの領域に興味を持つ生徒が増え、2024年度卒業生の場合、理系進学率はおよそ3割、うち工学系に進む割合が最も高かった。

海外大学進学については、同校が属するフレンド派とのつながりから、米国インディアナ州にあるリベラルアーツカレッジ、アーラム大学との交流が盛んになっており、この秋には中3から高3までの有志生徒が大学寮に滞在し、研修を行うことになった。また普連土学園の海外進学特別アドバイザーを務める多和教授の勤務校で、内村鑑三の母校でもあるアマースト大学とも交流がある。海外国内を問わず、多様なオリジナルの研修は、生徒の知的好奇心を刺激し、将来の選択肢を広げる絶好の機会となるはずだ。

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒108-0073 東京都港区三田4-14-16
TEL03-3451-4616
学校公式サイトhttps://www.friends.ac.jp/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス田町駅(JR山手線・京浜東北線)徒歩8分
三田駅(都営浅草線・三田線)徒歩7分
白金高輪駅(東京メトロ南北線)徒歩10分
国内外大学合格実績
(過去3年間)
東京、一橋、北海道、東北、筑波、東京海洋、東京外国語、東京藝術、お茶の水女子、千葉、秋田(医)、神戸、金沢、信州、山形、富山、岩手、帯広畜産、東京都立、名古屋市立、川崎市立看護、岩手県立、防衛医科、順天堂(医)、東京医科、獨協医科、聖マリアンナ医科、東京女子医科、埼玉医科、金沢医科、慶應義塾、早稲田、上智、国際基督教、東京理科、トロント、ブリティッシュコロンビア、ヴィクトリア、ベロイト、ノックス、アーラム、ハンガリー国立医科など

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