桐朋女子中学校

卒業生は国連職員や外資系企業トップも!人の心を動かす表現力に踏み込む学び
【注目ポイント】
- 中学の「論理エンジン」で国語の基礎を習得。
- 新聞投稿やディベートで表現力を磨く「国語表現」。
- 高1「言語文化」と高2「文学国語」で深い読解力を培う。
中学で論理的表現力の基礎を習得
戦後、旧東京教育大学出身者らが目指した先進教育の精神を継承し続けている桐朋女子中学校。同校が今、特に力を入れているのが豊かな表現力を育む国語教育だ。
「国語は才能やセンスの問題」という誤解を払拭し、論理的な思考力と表現力の基礎を養うため、中学では教科書『論理エンジン』(水王舎)を使用する。中1では語と語のつながり、中2では文と文のつながり、中3では文章と文章のつながりと、段階的に学習を深めていく。「言葉と言葉のつながりを見直すことで、私たちが普段何気なく使っている日本語が、実は論理的に成り立っているということを学びます」と国語科の千坂美樹教諭は語る。
人の心に響く表現を学ぶ「国語表現」
高校に進むと「国語表現」で自分の意見や思いを作文やディベートなど様々な学習手法によって「伝える力」の育成を目指す。
ユニークなのは、作文授業で新聞の読者投稿欄に応募する文章を作る時間も設けていること。教員が生徒に与えるテーマは「春」「締切」「可愛い」など多岐にわたり、制限時間内で自分の考えをまとめ、書く訓練を重ねていく。その結果、当初45分かかっていた作文が、学年末には20分で書けるようになる。さらに日常生活の様々な出来事にも関心が広がっていくという。
「作文では、人の心に響く表現力を養うことが大事です」と国語科の布施雄一朗教諭は語る。「単なる出来事や感情を記録しただけの文章は、日記に過ぎません。その経験が自分にとってどういう価値をもたらす出来事だったのかまで掘り下げてこそ、人の心に響く文章になるのです」。その言葉通り、新聞のエッセイ欄に採用された生徒の作品を見ると、個人的な体験から普遍的な教訓を導き出したものや、登場する人物の心情や行動を丁寧に描写したものが多いという。「文章の中に人が描かれていると、より読み手の心に響きます。何があったかではなく、その出来事で人がどう変わったかを描くことが大切なのです」。
ディベートの授業では「お客様は神様か否か」「未成年犯罪者の実名報道の是非」といったテーマで議論を交わす。相手の人格を否定せず、根拠をもとに議論を深めていくルールを徹底している。生徒たちは立論の準備段階で、図書館で資料を集め、チームでミーティングを重ねる。本番では、立論→質疑応答→反駁と進み、すべての生徒が必ず発言する機会を設けている。勝敗の判定は生徒たち自身が行い、「元々どちらの意見だったか」「議論を聞いてどちらに分があると感じたか」を理由とともに書かせる。こうした活動を通じて、生徒たちは次第に、答えが一つに定まらない問いについて考えることを楽しむようになり、自分なりの視点で世界を捉える目が育まれる。

古典や文学作品の読解で教養を深める
高1の「言語文化」、高2の「文学国語」では、古典や文学作品の深い読解を通じて教養を深める。課題図書は年間5、6冊。「私自身、中高時代は『なぜこう読まなければいけないのか』という窮屈さを感じていました。しかし、作品には必ず作者の意図があり、自分勝手な解釈は許されないことを大学で学びました。その理由を説明し、作品の本質に迫る読解指導を心がけています」と千坂教諭はいう。時代背景や作者の置かれた状況を踏まえた上で、文章に書かれた根拠を示しながら解釈を深めていく姿勢を重視しているのだ。こうした教育を通じて育った卒業生たちは、外資系企業トップ、世界銀行や国連職員、女性初の機長など、多彩な分野で活躍している。
「表現は楽しいということを実感し、大人になっても創作や表現活動を続けてほしい」と布施教諭。確かな教養と豊かな表現力を備えた人材を育成する桐朋女子の教育は、これからも進化を続けていく。
学校データ(SCHOOL DATA)
所在地 | 〒182-8510 東京都調布市若葉町1-41-1 |
TEL | 03-3300-2111 |
学校公式サイト | https://chuko.toho.ac.jp/ |
海外進学支援 | 有 |
帰国生入試 | 有 |
アクセス | 交通仙川駅(京王線)徒歩5分 成城学園前駅(小田急線)よりバス「仙川駅入口」下車徒歩1分 三鷹駅・吉祥寺駅(JR中央線)よりバス「仙川」下車徒歩7分 |
国内外大学合格実績(過去3年間) | 東京科学、東京農工、東京外国語、東京学芸、東京藝術、お茶の水女子、筑波、神戸、横浜国立、東京都立、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、国際基督教、同志社、立命館、昭和医科、東京医科、北里、日本、聖マリアンナ医科、東京女子医科、杏林、東京歯科、東京薬科、津田塾、東京女子、日本女子、武蔵野美術、多摩美術など |
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