東京農業大学第一高等学校中等部

学び・仲間・新校舎の融合が加速させる。体験▶驚き▶知の深化 という循環
【注目ポイント】
- 教育理念の「知耕実学」は、本物に触れる体験から知を耕す学び。
- 完全中高一貫校化と新校舎の完成で生徒間の学び合いが深まる。
- 「一中一高ゼミ」と「課題研究」との連動で大学進学へとつなげる。
体験で得た驚きを出発点に知を耕す
東京農業大学第一高等学校中等部は、教育理念として「知耕実学」を掲げている。入試広報部部長の赤井郷巳教諭は、「知耕実学とは、ひとことで言えば驚きから知を耕す教育です。本校の授業は本物に触れ、とにかくやってみることから始まります」と語る。
たとえば、中1の生物の授業では、各自ひとつの豚の目を使い水晶体を取り出す本格的な豚の眼球解剖や、メダカの稚魚のDNAを鑑定して雌雄を判別するなど、授業の半分ほどを実験が占めている。
社会科では、実際の選挙広報を使い候補者マニフェストを収集。本物の投票箱を使って模擬選挙を実施し公正な運営を検証する。
また、校内の雑木林で樹木・植生調査を行い、クワガタを採集して多様性を研究するなど、東京でありながら自然に恵まれた環境を生かした学びも実践されている。
東京農業大学の施設や教授陣と直結した「本物の研究体験」ができるのも併設校ならではの強み。中1で田植えから脱穀まで米作りに携わる稲作体験、中2で作ったお米のおいしさを科学的に検証、中3では大学の無菌室で味噌作りに挑戦する。2024年から希望者は、高校生のうちから併設大学の単位に認定される特別講義もスタートした。
「知耕実学において、体験はあくまで入口。そこから『なぜ?』という問いが生まれ、考察を重ねることで知恵を深めていくことに注力しています」と赤井教諭はいう。

完全中高一貫化で生まれた化学反応
2025年度より完全中高一貫校となったことで、併設の稲花小学校からの内進生と中学受験組の混合クラスとなり、多様な個性が刺激し合って化学反応が生まれている。
英語が得意な内進生と数学が得意な中学受験組が自然と教え合っている。また、探究活動では先輩が後輩にアドバイスをしたりするなど、学年を超えた共創(共に創る)の文化も根付いている。
2023年に完成した新校舎2号館は、美術室や書道室、技術室、家庭科室といった実技教室を集約。廊下には生徒の作品が展示され、ラウンジには自由に弾けるピアノが置かれるなど、生徒の感性と自由な発想を刺激する創造力育成の場となっている。同フロアにある自習室では、放課後、難関大学に通う卒業生がチューターとして生徒たちの質問に答えている。2026年10月には図書室や理科実験室、ホールなどを備えた3号館が完成予定。活動の場がさらに広がる。
「好き」を見つけるゼミと課題研究
放課後に開催される「一中一高ゼミ」は自由参加型の講座。学年縦断・教科横断型のゼミが多く、授業の枠を超えた学びやディスカッションが行われる。テーマは、「神保町古書街散歩」「東京大学大学院・農学部訪問」など多彩。生徒は興味を抱いたゼミに参加することで自分がやりたいことを見つけ、学問には境界がないことを実感する。
ゼミで「おもしろい」と感じたテーマ発見が中1から高1まで続く「課題研究」へとつながっていく。生徒たちは先行研究を調べ、仮説を立て、実験・実証を行い、時には東京大学や早稲田大学などの研究室へ指導を仰ぎに行くこともある。実験や調査に基づいた発表を行い、プレゼン力を養うとともに、成果を相互評価することにより、今後の学びや進路を考えるきっかけにもなっている。
近年は、外部コンテストにチャレンジする生徒も増え、「つくばScience Edge2024」で中3生がポスター賞日本語部門1位を受賞するなど、好成績を収めている。
「本校の最終目標は、大学合格ではありません。『知耕実学』により、幅広い教養を身につけ、自ら問いを立てて検証する探究心を持ち、予測不能な未来の社会で活躍できる人を育てることに目指しています。好きなことを見つけて挑戦したい、本物の体験をしたいという意欲ある生徒が成長できる学習環境を整えています」と赤井教諭は語る。
学校データ(SCHOOL DATA)
| 所在地 | 〒156-0053 東京都世田谷区桜3-33-1 |
| TEL | 03-3425-4481 |
| 学校公式サイト | https://www.nodai-1-h.ed.jp/ |
| 海外進学支援 | 有 |
| 帰国生入試 | 無 |
| アクセス | 経堂駅(小田急線)徒歩15分 上町駅(東急線)徒歩15分 渋谷駅(JR、東京メトロ、東急線、京王線)よりバス「農大一高前」下車 用賀駅(東急線)よりバス「農大前」下車 |
| 国内外大学合格実績(過去3年間) | 東京、京都、東京科学、一橋、北海道、東北、名古屋、大阪、九州、神戸、筑波、東京農工、東京海洋、電気通信、東京外国語、東京学芸、東京藝術、お茶の水女子、千葉、横浜国立、金沢、広島、国際教養、東京都立、早稲田、慶応義塾、上智、国際基督教、東京理科、弘前(医)、山形(医)、秋田(医)、金沢(医)、滋賀医科(医)、佐賀(医)、順天堂(医)、日本医科(医)など |
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