足立学園中学校

キハラカのセカンダリースクールで、スワヒリ語の授業中、現地の生徒と学んでいる様子
キハラカのセカンダリースクールで、スワヒリ語の授業中、現地の生徒と学んでいる様子

「志」が育む、危機にも動じない生徒たち! 今、注目の非日常体験学習の魅力を探る

【注目ポイント】

  • 志を持ち、自らの将来を切り拓く人を育成する「志共育」。
  • 既成の価値観を揺さぶる「アフリカ・スタディーツアー」。
  • 逞しさと生き抜く力を育てる「防災キャンプ」と「農業畜産体験」。

「志」あるところに道は拓ける

足立学園の前身となる南足立中学校と南足立商業学校が開校したのは1929年のこと。それまで足立区を含む城北地域には男子中等教育機関がなく、地域住民の切実な願いから有志が設置に向けて協力支援し、開校へとこぎつけた。両校兼任の初代校長となった法学博士の牧野菊之助は大審院院長(現在の最高裁判所長官)を務めており、現職のまま校長に就任。開校式で「質実剛健 有為敢闘」という校訓を示した。誠実で強く逞しいこと、優秀で人の役に立ち、最後までやり遂げる人を育成することを目指したものであり、この精神は今もなお受け継がれている。

学力向上に注力し、東京大学をはじめとする難関大学合格者も多数輩出してきた同校。高い進学実績を誇ってきた一方で、10代の若者たちのより良い未来を築くために本当に必要な教育とは何かを常に追求してきた。特に近年、社会は目まぐるしく変化し、正解のない課題に向き合う場面が増えている。こうした時代において、人としての土台となるものは、学力や知識だけでなく、その人自身の価値観や判断軸である。足立学園は建学の精神に立ち返り、現代を生き抜く力を育てる「志共育」を教育の柱として据えている。同校が掲げる「志」は単なる将来の夢や職業目標ではない。自分はどのような人間でありたいのか、どのように社会と関わり、他者のために自分の力をいかに役立てたいのか。生徒一人ひとりが自分の志を持ち、それに向けて考え、行動できるようになることが目的だ。

「志共育」の教育観は入試にも表れている。同校オリジナルの「志入試」は学力だけでなく、志望理由や将来の目標にも重きを置き、面接では自らの言葉で語ってもらう。家庭での受験準備では親子で対話を重ねながら志を見出し、子どもの主体性を育むと共に、保護者が我が子を改めて理解し、将来を考える契機になっている。

冒険心をかきたてるスタディーツアー

予測不能な時代だからこそ、非日常の出来事に直面しても動じずに道を切り拓いていく力が不可欠だ。足立学園では様々な体験を通じて学ぶ機会が充実している。

中でも特筆すべきは同校の「“志”グローバルプログラム」の一つであるアフリカ・スタディーツアーだ。4回目の実施となった2025年は中3から高2の計11名の生徒が参加し、期間は13日間。タンザニアを訪れ、首都近郊から地方都市を巡り、プチ留学体験、農園見学、サファリツアーをはじめ、多様なメニューが組み込まれている。普通の海外旅行では味わえない未知の出会いや体験がふんだんなツアーは受験生や保護者からの注目を集め、同校進学を志望したきっかけに挙げる親子もいる。

ツアーはタンザニアの経済都市であるダルエスサラームの市内見学からスタート。近年、急速な発展を遂げている同国は、高速鉄道や幹線道路の整備が進んだことで都市部と他地域との行き来が盛んになり、人も街も、ポジティブなエネルギーに満ち溢れている。現地の活気を肌で感じ、ある生徒は「タンザニアにはとにかく向上心があった。一方、日本は過去に先人たちが努力して経済を発展させたが、先進国になったという事実に甘んじてきたのではないか」と、日本の現実を鋭く考察した。

地方都市のキハラカではセカンダリースクールを訪問。授業体験や文化交流など、現地の同世代と共に密に過ごした2日間は、生徒の意欲を大いに引き出した。英語すら十分に通じない環境で「伝えようとしなければ伝わらない」という事実を目の当たりにし、身振り手振りを交えて必死に自分の思いを表現する。日本であれば、その場の空気から察してもらえるものの、異文化の中では自ら行動し、言葉を発しなければ何も始まらないのだ。瀬尾匡範校長は語る。「普段から生徒には足立学園での6年間でいろいろなことに挑戦してもらいたいと伝えています。たとえ失敗しようとも恐れずに、その経験を糧にして、次なる挑戦に力強く踏み出してほしい。このアフリカ・スタディーツアーも、その延長線上にあるものだと思っています」

旅程の後半ではタンザニアで最も生物多様性に富んでいると言われるルアハ国立公園でサファリツアーを体験。大自然の中で生きる野生動物に圧倒され、ある生徒は動物の生態や絶滅問題へ探究心を広げた。

他にも帰国後にアフリカへの見識をさらに深めようと、日本政府が主導して開催した「第9回アフリカ開発会議」に参加した生徒、荒川区ボランティアセンターが中心となって行われているタンザニアへのワイシャツ寄付プロジェクトに参加する生徒もいる。アフリカでの日々は一過性の体験に終始せずに生徒の価値観に深く作用し、知的好奇心として生徒の内面に蓄積されていることが伺える。

実際の避難所を想定した状態で過ごしている様子
実際の避難所を想定した状態で過ごしている様子

リーダーマインドを育成する校外授業

設立以来、世のため、人のために尽くせる人の育成を重視してきた同校では、地域貢献にも注力してきた。長年にわたって周辺地域の防災拠点としての役割を担っており、東日本大震災の際には帰宅困難者の受け入れを行った。こうした経緯もあり、防災活動にも積極的に取り組んでいる。

高1では校外授業として、新潟県新発田市で2泊3日の防災キャンプを実施。廃校になった学校施設を活用し、実際の避難所を想定したプログラムに挑戦。段ボールベッドの組み立て、簡易生活用品の作成、非常食を使った食事など、災害時の避難生活を疑似体験する。自ら考え、判断し、行動し、他者を思いやる力。これらは教室の中だけでは育ちにくい。未知の環境に身を置き、困難や不便さに向き合うことで、生徒たちは自然とそれらの力を身につけていく。この取り組みで重視されていることは、自分の命を守るための行動を体得するだけではない。避難所には高齢者をはじめ、誰かの支援を必要とする人が存在する。生徒はシミュレーションを通じて周囲を見渡し、他者のために行動することの重要性を体験的に学んでいく。非常時にこそ問われる人間力、支援する側に立つ際のリーダーマインドを育てる場となっているのだ。

牛の搾乳体験の様子。この後ローストビーフをいただき、命をつなぐ大切さを学んだ
牛の搾乳体験の様子。この後ローストビーフをいただき、命をつなぐ大切さを学んだ

農業畜産体験で心身共に大きく成長

体験型プログラムは他にもある。中1の夏に行われる2泊3日の林間学校では、長野県白樺湖周辺で農業畜産体験を行っている。このプログラムではレタスの苗の植え付けや土に触れての作業、牛の世話や搾乳など、普段の生活で経験できない活動が用意されている。仲間と助け合いながら作業を進める経験は、心と体の両面から成長を促す貴重な機会となっている。

自然に親しむだけでない。農業や畜産に携わる人々の思い、命をいただく大切さを、知識ではなく実体験として理解。「当たり前だと思っていた生活が、たくさんの人や命に支えられていることを実感した」など、生徒は様々な気づきを得る。

足立学園の数々の非日常体験は、生徒の志をより豊かなものにしている。瀬尾校長は「中学入学時に立てる志は、まだまだ『夢』の段階なのかもしれません。本校での様々な経験を通して、生徒の中に新たな気づきが生まれ、志が変わることもあるでしょう。成長著しい10代の時期、それは自然なこと。ただし『誰かを幸せにしたい』『社会を良くしていきたい』という根底の思いは変わらないはずです。その思いを具体的に、確かなものにするきっかけを、今後も提供していきたい」と語る。

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒120-0026 東京都足立区千住旭町40-24
TEL03-3888-5331
学校公式サイトhttps://www.adachigakuen-jh.ed.jp/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス北千住駅(JR常磐線、東京メトロ千代田線・日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス)徒歩1分
京成関屋駅(京成線)徒歩7分
国内外大学合格実績(過去3年間)東京、京都、東京科学、東北、筑波、千葉、埼玉、帯広畜産、秋田、宇都宮、新潟(医)、金沢、鳥取、愛媛、大分、宮崎、東京都立、国際教養、旭川市立、埼玉県立、会津、宮崎公立、水産、防衛、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、岩手医科、東北医科薬科、マンチェスター、INTO Manchesterなど

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