三田国際学園中学校

多様性あふれる環境で、収集、分析、構築、表現というサイクルを身につけ、論理的思考力を育む教育を実践

圧倒的なインターナショナル環境でのサイエンス教育が生徒の才能を開花させる

注目ポイント

  • 多様性を尊重する姿勢を養う「INTERNATIONAL」な教育
  • 「SCIENCE」教育で、課題発見力と論理的思考力を鍛える
  • 「IC」「ISC」「MSTC」の3クラスで世界標準の教育を実践

「THINK&ACT」を実践する土台となる「INTERNATIONAL」と「SCIENCE」

2015年の共学化から、世界標準の教育改革に取り組んできた三田国際学園。もともと同校は「大学合格実績を第一目的とした教育は行っていない」(今井誠副校長)。だが、これまで卒業した1~3期生は、旧帝大、早慶上理など国内の名だたる難関大学だけでなく、カリフォルニアやミシガン、トロント、シドニー、北京、台湾など帰国生ではない生徒も含め多くの卒業生が海外の名門大学に雄飛した。三田国際が追求してきた「世界標準の教育」が、一人ひとりのブレークスルーを引き起こしたのだといえる。

こうした教育の根幹となっているキーワードが「THINK&ACT」だ。“THINK”は、習得した知識をもとに、根拠をもって答えるための深い思考力をさす。“ACT”は、頭で考えるだけでなく、問題解決のために行動に移すことを意味する。そして、それを実現する土台となっているのが「INTERNATIONAL」と「SCIENCE」。これらのキーワードをもとに、三田国際ではインターナショナルな環境の下で、サイエンスに基づく論理的思考力を育む教育を実践している。

「INTERNATIONAL」の言葉通り、三田国際では全クラスで一般生と国際生をともに受け入れ、日本語と英語が飛び交う多様性に富んだ環境を実現している。新入生のおよそ3人に1人が国際生、教員も4人に1人がインターナショナル教員(IT)という校内は、まさに国際的。入学時に英語がほとんど話せなかった一般生も、様々なバックグラウンドを持つ国際生との交流の中で使える英語を身につけていく。一方、国際生も日本語や日本文化を学ぶことができる。このように、相互が刺激し合う学校生活そのものが、多様性を尊重する姿勢を養う場となっている。

そして、それに並行して行われるのが、もう一つのベースとなる「SCIENCE」教育だ。まず、入学すると全員が「サイエンスリテラシー」の授業を履修する。ここで問いを立てることの意義、仮説の立て方、仮説検証についてなど、論理的に物事を捉える方法について習得する。「本校のサイエンスは物事を深く知るための方法論です。日頃見過ごしていた課題を発見し、解決するために使うことができます。」と理科の辻敏之教頭。具体的には、情報収集⇒分析⇒仮説⇒アウトプットのサイクルを回す、科学的アプローチの方法を体系立てて教えている。「この授業で、研究者として学ぶ基本のスタンス、学問の前に立つ時の最低限のスキルセット(探究の作法)を身につけてほしいと考えています」。

こうした教育理念をさらにグレードアップする形で、昨年度からは中高6年間のロードマップが刷新され、新しいクラス編成に変更された。中学入学時は、「インターナショナルクラス(IC)」と、「インターナショナルサイエンスクラス(ISC)」の2クラスでスタート。さらに、中学2年次からは、「メディカルサイエンステクノロジークラス(MSTC)」を選択できる。MSTCは理数教育に特化したクラスで、ISCの生徒のうち、理数系や情報分野への意欲が旺盛な生徒が、学内選考を経て在籍することができる。

高校では、これらの3クラスが中学からスライドする形で、3つのコース編成となる。こうした6年間のロードマップは、生徒が世界で活躍するために必要な学びを支援するようデザインされている。

国際性やITとの交流の中で使える英語を身につけていく

デュアルディプロマプログラム導入でICの授業を世界標準化する

三田国際の英語教育の中心となっているICには、「Academy」「Immersion」の2つのグループがある。英語を自由に使いこなせる国際生が在籍するAcademyは、入学時から英数理社の授業をAll Englishで行う。これから英語を学び始める生徒が在籍するImmersionも、英数理社の4科目については、ITの英語による授業を段階的に取り入れて中3までにAll Englishでの授業を目指す。

特筆すべきは、21年度から高校のICコースで、日本とオーストラリアの2つのカリキュラムで学ぶデュアルディプロマプログラム(DDP)を開始したこと。これは、西オーストラリア州の高校カリキュラムに則った授業を履修し、同州の高卒資格を三田国際にいながらにして取得できるというプログラム。英語科の楢島知哉教頭は、「西オーストラリア州はレベルの高い世界標準の教育を行っており、教育水準の高さは我々が求めているものと合致している」と修得の意義を強調する。

それに加え、圧倒的な英語力を身につけるための多様な仕掛けも用意。なかでも大きな成果を挙げているのが、「バディシステム」だ。Immersionの生徒(1人)に対し、Academyの生徒(2~3人)がつき、英語でコミュニケーションをとる。週1回のバディチェックでは、双方が掲げている目標達成の進捗度を確認。会話が生まれやすい仕組み作りを構築している。

さらにITによる「放課後セッション」や、様々な教科を統合的に英語で学ぶ「CLIL(内容言語統合型学習)」も導入。英語力を高める心強いバックアップ体制が整っている。

ISCのゼミナール型教育で論理的思考力と実践力を養う

ISCでは2年次からさらに進化したサイエンス教育として、「基礎ゼミナール」が始まる。研究グループは「言語と文学とアート」「個人と社会」「数学とコンピュータ科学」など文理問わず幅広い。生徒たちは自ら選んだテーマを2年間研究することで、学問分野を超えた広い視野を持って教養・専門知を深め、論理的思考力を養うことができる。

高校課程になると、「Liberal Arts」がスタートする。これは「子どもの貧困」など自分の関心のあるテーマを選び、企業や大学、NPOなどと協働しながら海外研修と組み合わせて、フィールドワークを行い、課題解決に挑む取り組みだ。

こうした学びは実社会における課題に対する実践力だけでなく、教養・専門知を深め、論理的思考力をさらに高めていく。

最先端の設備機器を備えたラボで高いレベルの研究を行うMSTC

MSTCは、サイエンス研究に特化したクラスだ。インターナショナル教育とサイエンスの基礎を学んだ後に専門性を深める研究をすることで創造的な発想の素地が培われる。

中2から始まるゼミナール型の研究教育である「基礎研究α」では、「生物を考える」「科学を哲学する」「データと遊ぼう」などの講座があり、自ら調査・研究を行い、紀要にまとめる。これは高校課程の「基礎研究β」へと発展的に継続される。

また同校のサイエンスラボとカルチャーラボには大学や企業研究所レベルの設備・機材が備えられている。こうした恵まれた環境で、生徒一人ひとりが立案し研究を進めていく学びの中で、自ら作成した研究計画書「視覚的認知と計算障害の関係性」が認められ、東京大学との共同研究を行う生徒や、抗生物質生産菌の画像による分析研究をAI関連企業とコラボする生徒、プログラム解析で遺伝子変異の予測をする生徒などすでに学外でも存在感を示す、高いレベルの研究をしている生徒も多い。

常に“研究者たる姿勢で学べ”と提唱し続けてきた三田国際。生徒たちはその才能を大きく開花させている。今後どんな人材を輩出していくのか、楽しみな学校だ。(文/佐久間香苗)

大学や企業研究所レベルの設備・機材が備えられたラボ

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-16-1
TEL03-3700-2183
学校公式サイトhttp://www.mita-is.ed.jp/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス用賀駅(東急田園都市線)徒歩5分
成城学園前駅(小田急線)よりバス「用賀」下車徒歩3分
国内外大学合格実績
(過去3年間)
京都、北海道、東北、九州、大阪、東京外国語、東京農工、東京学芸、東京藝術、筑波、千葉、秋田(医)、岐阜(医)、横浜国立、東京都立、横浜市立、防衛、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、国際基督教、順天堂(医)、昭和(医)、カリフォルニア(バークレー、ロサンゼルスほか)、ミシガン、イリノイ、トロント、ブリティッシュコロンビア、シドニー、クイーンズランド、マンチェスターなど

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