北里大学附属順天中学校

北里大学特別栄誉教授の大村智博士による講演『私の歩んできた道とノーベル賞』の様子

探究学習で続々と成果を上げる生徒たち。北里大学の附属校化でさらに深まる研究

【注目ポイント】

  • 北里大学の附属校化で"創造性×実学"の探究が深化。
  • 自らテーマを見つけ、考え抜く探究姿勢を育む。
  • 多様な専門家が集う「Global Week」で知的好奇心を広げる。

実学の精神が探究を強くする

2026年度、順天学園は北里大学を擁する学校法人北里研究所の系列校となり、北里大学附属順天中学校・高等学校となった。生命科学の総合大学として知られる北里大学は、「いのちを尊び、生命の真理を探求し、実学の精神をもって社会に貢献する」という建学精神を掲げる。この理念は、順天の「順天求合」と深く響き合い、探究学習の方向性にも大きな意味をもたらしている。

「探究の目的は、情報を集めることではなく、自ら考える力を育てることにあります」と教育支援センター長の片倉敦教諭は語る。AIが知識を瞬時に検索できる時代、人間が本当に発揮すべき力は、問いを立て、仮説を考え、試し、失敗しながら前に進む創造性だ。

自分で問いを立てる学び

順天の探究がめざすのは、「ゼロから1を生み出す力」と「現実の課題を解決する力」の両方だ。どちらも、生徒自身がテーマを選ぶことから始まる。「教員がテーマを与えるのではなく、自分の“知りたい”を追求することが大切です」と片倉教諭は続ける。

生徒たちは「理数探究」「英語探究」「総合探究」の3コースから好きな学びを選び、興味の種を伸ばしていく。さらに北里大学への内部進学を見据える生徒を対象にした新コース「北里探究」も準備が進み、大学の研究環境に触れる機会がさらに広がっている。

生徒たちは先行研究を調べ、「何が分かっていて、何が分かっていないか」を見極めていく。そのうえで仮説を立て、実験や調査をきめ細かく設計していく。再現性のあるデータを取る姿勢は本格的で、統計処理を行い結果の信頼性まで検証する。こうした研究プロセスを、中高生が自らの力でやりきるところに順天らしさがある。

もう一つの特徴が、先輩と後輩が共に学ぶ仕組みだ。高1と高2の合同授業では、先輩の研究姿勢を間近で見た後輩が刺激を受け、「自分ならもっとこうしたい」と思える環境が自然と生まれる。そこから次の発想につながり、他校生と共同研究に発展する例もあり、学びは学校の外へ広がっていく。

成果は確かな形で現れている。2025年、樹木が傷ついた時に放出される化学物質に着目し、その働きを農薬開発に応用できないかと探究した研究が、環境省主催の全国フォーラムで最優秀賞を受賞し、その成果が認められた。また、ぬか漬けに含まれる酪酸菌の変化を調べた研究では、酪酸菌が増えやすい漬け方の傾向を明らかにし、「APPW 2025」高校生ポスター発表部門で優秀賞を受賞した。さらに2024年度には、日焼け止めの有害成分ベンゾフェノンが淡水域の生態系に与える影響を調べた研究が、アジア生物教育学会で最優秀賞に輝き、オーストラリアで開催された国際大会でも2位を獲得。こうした外部コンクールへの積極参加は、総合型選抜のポートフォリオとして大きな武器になるだけでなく、生徒の自信にもつながっている。

AABB アジア生物教育学会( 国際大会)最優秀賞を受賞した生徒たち

世界へ開く探究のステージ

探究の学びは、成果を出すことだけが目的ではない。自分の世界を広げ、新しい価値観と出会う体験そのものが大切だ。毎年秋に行われる「Global Week」は、生徒にとってまさにその機会である。大学研究者や起業家だけでなく、教員や保護者、生徒自身も発表者となり、75を超えるテーマで講義が行われる。生徒は興味のある講座を自由に選ぶ。ここで出会った言葉や視点が、新たな探究テーマの原点になることも多い。

新設予定の「北里探究」コースでは、高校生が大学の授業を受講し、大学で単位認定される「科目等履修生制度(AP)」の導入も見込まれており、高大の学びがつながる環境が整いつつある。順天の探究は、生徒一人ひとりの「好き」や「疑問」を起点にしながら、大学レベルの学びへ踏み出す確かな力を育て、社会に貢献する未来の創造へと広がっていく。その一歩一歩の積み重ねこそが、順天が大切にしてきた学びの姿勢を支えている。

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒114-0022 東京都北区王子本町1-17-13
TEL03-3908-2966
学校公式サイトhttps://www.junten.ed.jp
海外進学支援
帰国生入試
アクセス王子駅(JR・京浜東北線、東京メトロ南北線)徒歩5分
王子駅前駅(都電荒川線)徒歩5分
国内外大学合格実績
(過去3年間)
東京科学、東北、名古屋、大阪、九州、筑波、東京農工、東京海洋、電気通信、東京外国語、東京学芸、千葉、横浜国立、広島、東京都立、慶應義塾、早稲田、上智、国際基督教、東京理科、北里(医)、東京医科(医)、日本(医)、杏林(医)、獨協医科(医)、埼玉医科(医)、愛知医科(医)、エジンバラ、マンチェスター、ダラム、ニューキャッスル、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院( SOAS)、クイーンズランド、北京外国語など

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