こんな高校生活もあり⁉︎ まるで大学のような高校 【山梨学院高等学校通信制課程】
吉田 正
山梨学院高等学校通信制課程 校長
開設2年目を迎えた山梨学院高等学校通信制課程。従来の概念を覆す斬新なスタイルで「多様な学び」を提供し、様々な理由から「学校へ行かない」選択をした子どもたちの学びへの意欲をサポートし、各自が描く夢の実現を全力で応援している。
「学校へ行かない」選択をする子どもたちに新たな学びの場を提供
山梨県甲府市で、幼稚園から大学院まで一貫した教育の機会を提供する学校法人C2C Global Education Japan。山梨学院高校をはじめ、幼稚園、小学校でいち早くIB教育に取り組み、現在はそのノウハウを生かして国際標準の教育を実践している。その教育内容はアジア諸国を中心に海外でも評価されている。
「山梨学院高校は、以前から『特進』『進学』という2つのコースを設けて、勉強に打ち込む生徒も、スポーツや芸術・芸能などに打ち込む生徒も、各自が全力で自分の夢に向かえるよう、環境を整え、生徒の頑張りを応援してきました。その結果、進学実績や各種大会においても、一定の成果を上げることができています。一方で、近年は、スポーツや芸術、芸能、あるいは社会活動など、学校生活以外のことに真剣に取り組みたいという理由から、全日制高校へ進学しないという選択をする子どもが増えています。また、中学時代、あるいは高校入学後に、学校へ行かなくなった子どももいます。彼らはいうなれば、学校へ行かないという選択をした子どもたち。その意思を尊重し、新たな学びの場を提供しようと設立したのが、本校の通信制課程です」と吉田正校長。2023年4月、オンデマンドのオンライン授業と年2回のスクーリングを軸に、全日制で培ってきた経験と大学・短大併設校である山梨学院ならではのメリットを最大限に活用した、まったく新しい通信制高校がスタートした。
自由で開放的なキャンパスと、オンデマンドのオンライン授業
広々とした自然豊かな環境に、アカデミックな校舎が並ぶ山梨学院大学の一角にキャンパスはある。生徒たちは、思い思いの服装で、世界50各国以上の提携校からやってきた留学生や、カレッジスポーツの第一線で活躍するアスリートたちに交じって闊歩し、大学図書館で資料を探したり、大学の学食やカフェで友人と会話を楽しんだりと、まるで大学生のように学校生活を送ることができる。Wi-Fi完備のフリースペースは常に開放されていて教員やスタッフが常駐。その時居合わせた生徒同士、学年の垣根を越え、交流する姿も見られる。個室も整備され、落ち着いた雰囲気のなかで、教員やスタッフのサポートを受けながら、オンライン授業を受けたりレポートに取り組んだりと、各自のペースで学びを進めていく。
「通学するか否かは生徒の自由ですが、私たちは、誰がいつ来ても良いように常に受け入れ態勢を整えています。中学時代には不登校だったり保健室登校だったりした生徒が、これまで経験してきた学校とは違う、自由で開放的な大学生活を肌で感じるなかで、視野が広がり、新しい夢を見つけて、『自分も大学生になって、こんな勉強をしたい』と目を輝かせながら話してくれるようになるケースも少なくありません」と池渕彩乃・事務職員が笑顔を見せる。
授業は完全オンラインとなっていて、充実した教科書とリンクした5分程度の授業ビデオを5~6本視聴することで一単元を修了する。オンデマンドなので視聴する時間や場所、回数の縛りは一切なく、自宅でも、遠征先や活動拠点などでも受講が可能。理解できるまで何回でも繰り返し視聴して学びを深めることもできる。
一方、スクーリングについては、遠方からの生徒の経済的、時間的負担を考え、年2回程度に留めるとともに、保護者も参加できる学校行事を組み合わせて、より参加しやすい状況を作っている。「スクーリングや学校行事は、楽しかった、行って良かったと思える機会にしたいと考えています。今夏のスクーリングには、雄大な富士山を間近で見てもらおうと、校外学習として富士急ハイランドへ行きました。みんな楽しそうに交流していて、社会性を育む機会ともなったようです」。学校行事もバラエティに富んでいて、すでに開催しているハロウィンやクリスマスなどのパーティに加え、今後は、大学の学園祭への出店なども検討していく予定だという。
和気あいあいと取り組む家庭科調理実習の様子
大学進学も全日制への転籍もチャレンジできる環境
卒業後の進路についても、系列大学、系列短期大学をもつ総合学園としてのメリットが存分に活かされる。通常、通信制の学習だけでは大学進学は難しいが、山梨学院では生徒の頑張り次第で、系列の山梨学院大や山梨学院短大への系列校推薦による進学が可能となる。また、本人の希望と一定の学力があれば、高校在籍中に全日制へ転籍する道も開かれている。
加えて、さらに上のレベルを目指す生徒には、全日制・特進コースで採用している大手予備校のオンライン講座(有料)を提供。進路指導には、進学校ならではの最新のデータや全日制での経験をフル活用し、生徒や保護者との個別面談を実施して、将来をも見据えたサポートを行っている。
開設2年目にして生徒数は120名を超え、保護者の赴任先であるアメリカの現地校に通いながら日本の高卒資格取得を同時に目指す生徒や、社会活動家を志してNPO法人で精力的に活動する生徒、世界を見据えて練習に励み、国内外の試合を転戦するアスリート、芸能界での活躍を夢見るタレントの卵、さらには、50歳を超えて学び直しに挑戦している生徒など、多様な人たちが、それぞれの場所で自分に合ったスタイルで学び続けている。
さらに、今年度は他の高校に在籍したまま一部の科目だけを履修して単位を取得できる「学校間連携コース」も開設し、何らかの理由で単位を取得できなかった他校の生徒へもサポートの範囲を広げている。
個性が尊重され、多様性が追求される今日。従来の「高校」のイメージを刷新した山梨学院高校通信制課程が提供する多様な学びのスタイルは、高い目標を掲げて我が道を突き進む子どもたちはもちろん、従来の価値観に苦しむ子どもたちにとっても、明るい未来を拓く光となるだろう。
(文/荻原美穂)
●学校データ(SCHOOL DATA)
所在地 | 〒400-8575 山梨県甲府市酒折2-4-5 66号館(山梨学院大学キャンパス内) |
TEL | 055-224-1414 |
学校公式サイト | https://www.yghs.ed.jp/yghs_dl |
アクセス | 酒折駅(JR中央線)徒歩3分 善光寺駅(JR身延線)徒歩12分 山梨学院大前(高速バス、山梨交通バス、富士急行バス)徒歩1分 |
大学合格実績(過去5年間) | 山梨学院大学、山梨学院短期大学、その他私立大学、専門学校 |