多摩大学目黒中学校

官僚として国家政策に関わった田村校長

とにかく何かを始めてみよう! 好きなことを究めてMARCHへ

注目ポイント

  • “好きなこと”を究めることで、高い目標を達成
  • 経験値を高め視野を広げる高大連携のアクティブラーニング
  • 延長者続出の海外留学で、英語力が確実にアップ

元キャリア官僚という異色の経歴を持つ田村校長の教育の原点

経済産業省のキャリア官僚時代、アメリカとロシアの大学への留学をきっかけに、田村嘉浩校長の日本の教育に対する価値観は一変した。母国の発展に高い貢献意識を持つアジア諸国の国費留学生、人生設計が明確なアメリカ人学生など、20代前半であろう若者たちの学びに対する姿勢や、秘めたエネルギーの高さに驚かされたからだ。一方、日本の留学生は、学力や能力の面では決して劣っていないものの、明確な目的意識を持つ学生が多くはなかった。日本の教育に危機感を覚えた田村校長は、自身のキャリアに大きく転換をはかり、教育の世界に身を投じた。  

田村校長の「目的意識を持ち、目標に向かって研鑽を積める生徒を育てる」という教育目標は、こうした経験に裏打ちされている。「本気でやりたいことを自ら選択し、とことん打ち込んでほしい」と田村校長。勉強、部活動、学校行事など、何か夢中になれるものと巡り合うことで、目標や目的意識が生まれる。同校では、学校生活の至る所に“好きなこと”探しの仕掛けが用意されている。

好奇心を満たせる部活動が最高の結果を残す原動力に

“好きなこと”の萌芽の機会は、部活動にもある。高いレベルでの文武両道で知られる同校には、ダンス部をはじめ、写真部、放送部など全国レベルの部も少なくない。

強豪サッカー部も全国大会出場、首都圏大会4連覇達成など、輝かしい実績を残す。注目すべきは、練習熱心な生徒ほど成績もよく、難関大学合格も稀ではない点だ。なぜなら成績が一定以上を満たしていないと練習に出られない。チームワークが重要な集団競技において欠席は致命的。こうした仕組みもモチベーションとなり、何事にも一切妥協しない精神を鍛えながら高い目標を両立している。「中心的に活躍する生徒は、学校行事にも積極的に参加して、周りを巻き込みながら学校全体を盛り上げてくれる」と田村校長。リーダー的存在の先輩に後輩たちは憧れ、その後に続く。男子生徒の元気のなさを指摘する声が多い中、サッカー部は他校とは異なる校風をつくり出す役割を果たしているのだ。

自発的に参加する多数のプログラムで“好きなこと”を究める

生徒の自主性を重んじる同校では、自ら考え・行動する経験を積み重ねる。多摩大学と連携したアクティブラーニングには、希望制にも関わらず毎回多くの生徒が参加。起業体験、投資戦略、プログラミングなどを研究する大学のゼミに参加し、社会の現状と関わり方を学ぶことができるからだ。台湾やタイの学生とオンラインでつながり、互いの国やポピュラーな話題をテーマに英語で紹介する国際交流のプログラムでは、フリートークでも活発に意見が飛び交っている。

こうした活動を報告する12月のアクティブラーニング祭では、教授・社会人大学院生・大学生など200~300人の聴衆を前に、生徒たちは研究成果を発表する機会を持つ。「話し方や表現力が年々向上していく。先輩のやり方を見て、吸収して、経験をしっかりと活かしています」と田村校長は語る。

参加者が毎年殺到するという留学・語学研修プログラムも、国際レベルで自分の将来を見つめられる絶好の機会だ。2カ月の短期から選べるが、大半の生徒が半年間、1年間を希望し、カナダやニュージーランドへと渡っている。ある生徒は「授業も映画も英語で理解できるようになった。自信がついたから延長したい」と現地での充実した様子を語った。こうした生徒は珍しくなく、延長者続出が同校恒例のシーンだという。

入試広報部長(校長補佐)の井上卓三教諭の「とにかく何かを始めてみようよ」という言葉にも表れているように、生徒たちは“好きなこと”を究め、自分らしさを伸ばしながら、MARCH以上の大学進学を目指す。「関心を持つと、次に必要なことを自分で探し始める。たくさんのチャンスを与えてあげたい」と田村校長は笑顔で語った。(文/瀬戸川彩)

目黒キャンパスの校舎

学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒153-0064 東京都目黒区下目黒4丁目10-24
TEL03-3714-2661
学校公式サイトhttp://www.tmh.ac.jp/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス目黒駅(JR、東京メトロ南北線、都営三田線)徒歩12分
中目黒駅(東急線、東京メトロ日比谷線)よりスクールバス
国内外大学合格実績(過去3年間)東京工業、一橋、北海道、東京海洋、東京農工、電気通信、東京外国語、東京学芸、東京藝術、筑波、横浜国立、千葉、埼玉、国際教養、東京都立、横浜市立、神奈川県立保健福祉、水産、防衛、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、国際基督教、明治、青山学院、立教、中央、法政、学習院など

【関連情報】

海外で痛感した日本の教育課題 目的を持って打ち込むことが重要