桐朋女子中学校
考察と分析で導き出された考えを説得力のある言葉で表現する力を育成
【注目ポイント】
- 自らの目で見て、分析する力を養う「社会科見学」。
- わかりやすく伝え、話す力を鍛える「発表学習」。
- 大学進学の準備にも役立つ「総合社会特講」。
中学の集大成となるレポート作成
Learning by Doing──。実践や経験を重んじる桐朋女子中学校・高等学校では、自らの目で見て考え、分析する姿勢の育成を重視している。
中学の社会科では「本物に触れる」ことを大切にし、各学年で年1~2回、社会科見学の機会を設けている。中1では、学校周辺のエリアや都心を見学し、中2では、歴史に関連する博物館などを見学する。中3では裁判所や国会、豊洲市場、ユニセフなど複数のコースを設定し、各自が興味のあるジャンルを選んで見学する。見学後は、400字詰めで8~15枚のレポートを提出する。レポートは、研究報告としての体裁を整える必要があるため、単なる調べ学習に留まらない深い考察と分析が必要になるという。
「大切なことは、1つのテーマを決めて十分に調べ、自分なりに考察することです」と社会科の菊川彩香教諭。「たとえばチョコレート工場の見学で、チョコレートの作り方や効用を書くだけではレポートとは言えません。商品開発の工夫と問題点というテーマであれば、他の製菓会社の製品とどのような差別化を行っているかも比較・考察する必要があります。大切なのは調べることではなく、調べた結果、自分はどう考えたのかをまとめることなのです。そのためにも事前に構想をしっかり練ることが重要です」。
15分間の持ち時間で話す力を養成
こうしたレポートを経て、自ら問いを立て、論理的に考え、書く力を身につけていく生徒たち。高2の公共では、現代社会における様々なテーマを生徒2人で調べてレポートを作成し、クラスメートの前で15分間の発表を行う「発表学習」に取り組む。
用意されたテーマは全部で16あり、環境、社会保障、人権、労働、人口、エネルギー、食料などジャンルは多岐にわたる。具体的には、「年金制度や介護保険制度にはどんな課題があるのか?」「難民問題をどうすれば解決できるのか?」「EUの経済統合は他の経済統合とどんな違いがあるのか?」「人間はどのように発達し、成長するのか?」などがある。テーマが決まった生徒は、骨子をまとめたレジュメを作成し、教員のアドバイスで構成を固める。さらに書籍や公的機関のサイトの情報を中心に調べ学習を行い、確かな根拠をもとに説得力のある発表に仕上げていく。生徒たちはパワーポイントや動画を駆使し、発表方法にも様々な工夫を凝らしているという。
「これまで受け身だった姿勢が一転し、自ら教える立場になることで、モチベーションが高まるようです」と社会科の天野彩教諭。実際、社会科が苦手な子が興味のあるテーマに意欲的に取り組み、高いレベルの発表を行うこともあるという。「本校では数十年前から発表学習を重視しており、これが主体的に学ぶ姿勢につながっています。子どもたちの生活は今やメールやSNS、ネットが中心になっています。普通の人が情報の発信者にもなり得る時代ですが、一方で言葉を使いこなす訓練は足りていません。だからこそ、表現活動を支える“ことばの力”を強化することが大きな命題でもあります」と天野教諭は力を込める。
「総合社会特講」で興味を深掘り
また高3生向けの選択講座では、探究学習に特化した「総合社会特講」を設置。2人の教員がチームを組んで指導し、生徒の研究をサポートする。テーマは多岐にわたり、生徒は社会科学の様々なテーマを深く学ぶことができる。なかには将来の進路を見据えた意欲的なテーマを選ぶ生徒もおり、発展学習というだけでなく、大学での学びに向けて、教育的な効果もあるようだ。
さらに桐朋女子は、電気通信、東京女子、日本女子といった大学との連携を通じて学びを深め、進学先とする生徒もいる。進路の選択肢だけでなく、未来の可能性が無限大に描ける学校である。
学校データ(SCHOOL DATA)
所在地 | 〒182-8510 東京都調布市若葉町1-41-1 |
TEL | 03-3300-2111 |
学校公式サイト | https://chuko.toho.ac.jp/ |
海外進学支援 | 有 |
帰国生入試 | 有 |
アクセス | 交通仙川駅(京王線)徒歩5分 成城学園前駅(小田急線)よりバス「仙川駅入口」下車徒歩1分 三鷹駅・吉祥寺駅(JR中央線)よりバス「仙川」下車徒歩7分 |
国内外大学合格実績(過去3年間) | 東京医科歯科、東京農工、東京外国語、東京学芸、東京藝術、お茶の水女子、筑波、神戸、横浜国立、東京都立、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、国際基督教、同志社、立命館、昭和、東京医科、北里、日本、聖マリアンナ医科、東京女子医科、杏林、東京歯科、東京薬科、津田塾、東京女子、日本女子、武蔵野美術、多摩美術など |
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