生徒一人ひとりに合わせた教育で、「自分らしさ」の花を咲かせる【清心女子高等学校】

三浦 成子

みうら せいこ

清心女子高等学校 校長

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私立通信制高校として56年目の歴史を誇る清心高等学校。その経験を基盤としながらも、生徒を取り巻く社会の変化、心の問題をいち早く察知し、生徒にとって何がベストなのかを常に模索し、改革に取り組み続けている。

すべての国民に教育を受ける機会と権利を

『すべての国民は女子といえども、常に、いつでも教育を受ける機会と権利が与えられなければならない』を建学の精神として掲げる清心女子高等学校。その歴史は、横浜を世界有数の国際都市として確立した横浜財界のリーダーであり教育人でもあった大谷嘉兵衛の孫・大谷高子が1947年に横浜ドレスメーカー女学院を設立したことに始まる。戦後の混乱期において「女性の生活向上こそが新生日本創造の基本である」が高子の信念だ。高度成長期、京浜地区には地方出身の中卒者や、病気や経済的理由で高等教育の機会を逃した女性が多くいた。そうした女性たちが通信制課程の特色を生かして高校卒業資格が得られるように、高子が20数名の教職員と共に1968年に創立したのが同校だ。私立として全国で2校目の通信制高校の創立は、当時の新聞紙面を大きく飾ったという。

週1〜5日の登校スタイル

同校で最も大切にするのは、生徒一人ひとりが自ら選択し、自分らしく学ぶことだ。「高校時代は自分とは何か、将来とは何か、と自らに問い続ける自分探しの時期だが、中には道に迷う子どももいる。それでも本校で過ごす中で、ゆっくりと時間をかけて自らを創り上げていけばいい」と三浦成子校長。そんな同校の大きな特徴が、2021年度から改革を行なった生徒自らが選択する登校スタイルだろう。自分のペースに合わせて登校日数を、週1日〜5日まで選択できる。生徒の中にはダンスやスポーツなどの外部クラブに所属し、その時間をできるだけ増やしたいと登校日数を減らすケースもある。

その一方で中学時代に不登校や別室登校経験者も少なくない。「登校しないことは悪いことではなく、一人ひとりのペースを尊重することがとても大切」と三浦校長は力を込めて語る。その言葉通り、生徒のペースに合わせた登校スタイルの選択が『すべての国民への学びの機会と提供』という建学の精神の実践に大きく寄与していることは間違いない。

女子美術大学との連携授業の様子

進路を見据えたセレクト科目と人間教育

同校のカリキュラムは必修科目とセレクト科目の組み合わせで、生徒たちは自分だけの時間割を作ることになる。特筆すべきはセレクト科目のユニークさだ。未来につながる生きた学びを保育系、フード・ファッション系、アート系、進学系、教養系の5つの分野から選択。学習の基礎を固める科目から専門的なものまで幅広く、外部専門家の授業や、大学や専門学校との連携授業も行なっている。「興味を持てるセレクト科目が、学校に行ってみようと思うきっかけになればいい」と三浦校長。

同校では生徒に高校卒業後の人生についても自分で考え、選択して歩んでほしいという強い思いがある。その第一歩として高1で自分は何が好きで、どういう道に進みたいのかを考え、そこから登校スタイル、セレクト科目を選んでいくのだ。また、セレクト科目は生徒たちの進学先の専攻につながることを考慮して選定されたものも多い。卒業後の進学先の学びを、高校時代に事前に経験することは安心感につながり、選んだ進路に生徒たちは迷いなく進むことができるという。部活動や生徒会、ボランティア活動のほか、文化祭、社会見学、校外宿泊研修、修学旅行などの行事も盛んで、ここでは登校スタイルの異なる生徒たちとも交流することができる。

さらに今年度からは前・後期の2学期制がスタートした。これはテストの回数を減らし、じっくり授業ができるようにするとともに、ロングスパンで生徒それぞれの学びを丁寧に評価したいという意図もある。「本校には体力的にも精神的にもケアが必要な生徒も在籍するため、画一的ではない、一人ひとりの生徒に合わせた対応はやはり大変な面もある。しかし、あえて通信制の本校を選んで着任された教員は、その点も理解し生徒に寄り添う高い志を持っている」と胸を張る。卒業式では毎年、生徒たちの成長を心から喜び涙する教員の姿がある。

最後に三浦校長は「中学時代につらい経験をした子どもたちは、優しく、相手を心から思いやることができる。入学時は厳しい状況であっても、必ず一人ひとりが輝ける何かを持っていることを忘れないでほしい」とその思いを語った。

(文/松岡理恵)

●学校データ(SCHOOL DATA)

所在地〒222-0024横浜市港北区篠原台町36-37
TEL045-421-8864
学校公式サイトhttps://www.seisin.ed.jp
アクセス白楽駅(東急東横線)徒歩10分
大学合格実績(過去5年間)聖心女子、日本、駒沢、東海、桜美林、女子美術、フェリス女学院、鶴見、神奈川、関東学院、大妻女子、東洋英和女学院、相模女子、横浜商科、横浜美術、和光、白百合女子、立正、田園調布学園、東京医療保健など